「鼠径(そけい)」とは、太ももや足の付け根部分のことを指し、「ヘルニア」とは体の組織が正しい位置からはみ出した状態を表します。「鼠径ヘルニア」とは、本来であればお腹の中に収められているはずの腹膜や腸の一部、脂肪などが、筋膜の間から皮膚の下に飛び出してしまう病気です。古くから「脱腸」とも呼ばれ、基本的には良性の病気ですが、放置していると日常生活に支障が出るだけでなく、命に関わる危険性もあります。 鼠径部ヘルニアは発生する場所によって「外鼠径ヘルニア」「内鼠径ヘルニア」「大腿ヘルニア」の3種類に分かれます。もっとも数が多い外鼠径ヘルニアは先天的な理由により子どもや若年層にも起こりますが、成人男性にも多く見られています。内鼠径ヘルニアは運動不足や加齢による筋力の衰えが原因で起こりやすく、やはり男性に多く見られるヘルニアです。大腿ヘルニアは出産経験を持つ女性が発症する例が多いのが特徴です。いずれの鼠径ヘルニアも現在では日帰り手術による負担の少ない形で治療が可能です。なお、当院では成人の鼠径ヘルニアの治療のみお受けしており、小児のヘルニアについては適切な医療機関にご紹介しております。